2024/3/31 中島多加仁著『天梁星のトリセツ: シリーズ紫微斗数14主星 その12』が出版されました
中島多加仁著『天梁星のトリセツ: シリーズ紫微斗数14主星 その12』がAmazonで出版されました。
シリーズの出版企画に際して
本書は『シリーズ紫微斗数14主星』の第12弾、天梁星の取扱説明書になります。
ひとつ前の天相まで、女性の星たちがつながっていました。そして天梁で男性に反転し、次の七殺と最後の破軍の3つで締め括られます。
天梁は天相と七殺に挟まれています。挟まれる、ということは、それらの星の影響を受けるという意味になります。
天相は控えめで、犠牲的でボランティア精神に溢れています。
七殺は前のめりで、表に立ちたがり、結果追求タイプです。
その両星に挟まれた天梁は、いったいどんな性質になるでしょう。
天梁星の「梁」は、読んで字の如く「棟梁」の梁です。
建築現場における「棟梁」とは、大工職のトップを務める責任者を指します。昔風に言えば頭(かしら)とか親方といった表現でしょうか。
「棟(むね)」と「梁(はり)」は、建物にとって欠かせない重要な構造物です。そこから組織や仕事を束ねる中心人物を指す言葉となりました。古い歴史の武士や僧侶が活躍した時代から『武家の棟梁』といった言葉があります。
現在では建築大工技能士、建築施工管理技士、二級建築士、木造建築士などの資格を有する者が、棟梁としての役割を担う現場が多くなっています。一般企業ならば、チーフやマネージャーといった管理職に当たる役割です。
大工の棟梁は、現場において欠かせない重要なポジションです。ひとつの建物が完成するまでには、大工だけでなく各種職人や設備業者などが関わりますが、それらを取りまとめるのが棟梁です。
棟梁になるためには建築作業全般に精通している必要があり、豊富な知識と経験が求められます。棟梁の腕次第で建物の建築日数や完成度が変わってくる。それほど影響力があるため、責任と苦労も大きい立場です。
有能な棟梁は、材木を見ただけで、その木の生い立ちがわかるそうです。どんな山のどんな場所に生えていたのか、どちらから太陽に照らされていたのか、どのように乾燥されたのか。樹木というのは、年輪の幅の広い方が南で、狭い方が北にあったことを示しています。日光が当たっている分、成長するからです。年輪ができるのは日本に四季があることが関係しています。
日照時間によって樹木の成長スピードが異なり、夏の成長は著しく、冬はあまり成長しません。その差が年輪となるわけです。木を切るタイミングも重要で、夏の成長期に木は水を吸い上げています。その時期に木を切ると、水や栄養分が多いためカビが生えたり虫が入りやすく、粘りも少ないため劣化が早いのです。逆に冬は、水分をさほど吸い上げないので痛みにくいそうです。年輪の目を見ると、植林かどうかもわかります。そういった材木の特徴を活かして、どの部屋にどの木を使い、どう組み合わせるか、それをすべて考えて配置を決めるのが棟梁の知恵です。
木目を読み、材木の癖を知ることで、どちらにねじれやすいのかを計算に入れたうえで配置していく、まさに匠の技です。これは材木だけでなく、人材にも当てはまります。
『木組は木の癖組なり。人組は人の癖組みなり』とは、法隆寺の鬼と呼ばれた宮大工・西岡常一棟梁の言葉です。西岡棟梁は、多くの学識関係者が持論を述べても堂々と反論し、そのたびに衝突を繰り返したそうです。
似たような星でいうと、天機は学者で巨門は研究者ですが、天梁は職人となります。ちなみに陰陽五行では『陽』の土性ですから、南斗主星の天府と同じ。しかし天府とは性格が違います。
あなたが九星気学を知っていたら、9個の星のうち土星が3つあることはご存じですよね。中央の五黄が紫微だとすると、天府は坤(未申)の二黒にあたり、天梁は艮(丑寅)の八白に相当します。それらの象意として坤は大地ですが、艮は山になります。大地は安定と停滞を意味しますが、山は変化や起伏を表します。
おなじ陽の土星ですが、天梁は無骨さが主軸になります。これは母(天府)と父(天梁)の違いでもあります。土性の星は、他にも禄存と化禄があります。このふたつは紫微と同じ陰性です。土は水を堰き止めるため最大凶の水性である化忌を無力化する、ともいわれています。
紫微斗数の主星たちは『封神演義』のキャラクターと似ています。全く同じではないし、影響を受けているわけではないですが、星の意味を覚える上でとても便利です。
ちなみに天梁星は、封神演義だと殷の将軍である李靖があてがわれています。李靖は将軍として活躍するだけでなく、仙人のもとで修行して道術も学び、武王に仕えて李天王になりました。李天王は中国では毘沙門天と同一視されています。勇猛で優れた指揮官だった李靖ですが、三男の那咤との親子喧嘩が有名です。